遅速(ちそく): 早い遅いの違い
「東岸西岸之柳 遅速不同 南枝北枝之梅 開落已異」(和漢朗詠集)
「遅速」と漢語を用いたので、和語「愛でる」ではなく、漢語「愛す」で対応した。
(解釈)
紅白二本の梅が春を告げる。その開花にも品種と日当たりの多少の相違で早い遅いがある。そこにまた春の訪れがつぶさに感じられて楽しい。
樗良宛蕪村書簡によれば、両者間に仲違いがありとの世上の噂を駁し、それぞれ違った立場から俳諧の花を咲かせようとの意を寓した。
ABOUT ME

日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)