日々思うこと

「山笑う」と「これきり」

冨田鋼一郎
[ナンキンハゼ]

郭煕「山水訓」より

郭煕(1023-1085)(宋時代の画家)

 春山淡冶にして笑ふが如く、
 夏山は蒼翠にして滴るが如し。
 秋山は明浄にして粧ふが如く、
 冬山は惨憺として眠るが如し。

@@@@

[これきり]

これっきり これっきり 
もうこれっきりですか

(山口百恵「横須賀ストーリー」)

○これきりに小道つきたり芹の中 蕪村

○路(みち)絶て香にせまり咲茨かな 蕪村

芹の中に茫然とたたずむ蕪村。茨が細道に覆いかぶさる
トゲがあるので掻き分けて進めず、立ちすくむと、茨の芳香が迫ってきた

字面はわかりやすくても、作者は一筋の道を迷わず突き進むのではなく、立ち尽くしてしまう

その態度は不徹底で、その心の中を知るのは容易でない

そもそも蕪村はどこに行こうとしていたのだろう?

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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