読書逍遥

読書逍遥第541回『遊心譜』(その2) 宮崎市定著

冨田鋼一郎

『遊心譜』(その2) 宮崎市定著

バイデン・トランプ両大統領とも恩赦連発した

[恩赦について]

恩赦という制度は中国古代に淵源し、日本にも伝わってきた。ところがこの制度、本場の中国において古来すこぶる評判が悪い。

春秋時代、管仲が著したと伝えられる古典『管子』の中に既にその弊害が指摘されている。

「赦は小利にして大害あり、これを行えば久しくして、その禍に勝(た)えず。赦をなくせば小害あるも大利あり。久しくしてその福に勝(た)えず。故に赦なるものは、馬を走らせ手綱を失えるが如し。赦をなくすは、難病を癒す妙薬を得るが如し」と。

およそ一犯罪に対する判決は、検察側と司法側と血のにじむような苦心と忍耐によって過去を再現し、慎重に法を選んで適用した結果である。それが人心一新というような曖昧な理由で、一瞬に棒引きにされる。当事者の無念察するに余りある。なおその裏にはこれを支える国民の払った巨額の税金がある。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました