日々思うこと

NHKスペシャル「秘境ブータン 天空を駆ける」

冨田鋼一郎

5千メートル級の高地を自分の足で186キロを踏破するイベント

「地球の未来をかけた戦い」
強いメッセージ性を持った素晴らしい番組だった

温暖化の影響は、海面上昇で水没危機にある赤道付近の島嶼国だけでなく、高山国ブータンにとっても深刻だ

氷河の融縮と氷河湖決壊が国を破壊する差し迫った危機

☆☆☆☆

2025年1月19日放映

「秘境ブータン 天空を駆ける」と題し、ヒマラヤの絶景を駆ける美しくも過酷なこのレースの様子を満島ひかりのナレーションでおくる。

ブータン山岳地帯の最奥地の秘境で開催される、“スノーマンレース”の全貌をNHKがブータン国営放送との国際共同制作によって、世界で初めて記録。
番組では、標高5470mのヒマラヤの峠を越えて5日間で186kmを走り抜ける選手の奮闘と地元ブータンの人々との交流を描く。

全行程のほとんどが富士山よりも高く、酸素の量は平地の半分ほどの高地で行われ、“世界一過酷”な山岳マラソンと言われるスノーマンレース。
第1回大会では、海外から招待されたアスリート20人のうち12人がリタイアしたほどの命がけの戦い。第2回大会となる今回は、ブータン選手7人と日本人を含む海外からのトップ選手9人が参加する。

スノーマンレースは、単なる山岳マラソンではない。発案したのは地球温暖化対策を世界に訴えるブータン国王。ブータンは環境保護に力を注ぎ、二酸化炭素の排出量を吸収量が上回る“カーボンネガティブ”を世界で初めて達成した国である。
しかし、地球温暖化の影響を大きく受け、山岳地帯の氷河が解けることで引き起こされる水不足や、氷河湖の決壊による洪水被害など、猶予のない事態に見舞われている。

レースに参加した選手たちは、トレイル周辺に集中する氷河湖の危険な状況を自らがSNSで発信することで、世界に気候変動の実情を訴えた。番組では“地球沸騰”の危機の中、ブータンから世界に向けられたメッセージを届けていく。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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