落款
寛保辛酉歳
倣南田筆意
渓漢
印
「渓漢山人」(白文方印)
寛保元年(1741)、蕪村26歳
蕪村の現存する肉筆では最も古い作品
俳諧の師匠、宋阿の死の前年、関東の山野の花を描くことで孤独を紛らしていた
漢画の修業を始める時期に、惲南田(寿平)の花卉図を選んでいることは一考に値する
画号に「渓漢」を用いている
「渓漢」の「渓」は、惲南田の別号「雪渓外史」の「渓」を継いだのかもしれない
「漢」は男子の意味
画号を「四明」に定まるまでに「渓漢」「渓霜」「子漢」「朝霜」「朝漢」「朝滄」「懶郎」など試行錯誤していることがみてとれる
惲南田 (うんなんでん) (1633-1690)
江蘇省出身の文人画家、書家。惲寿平ともいう。清初六大家の四王呉惲の一人。号は東園草衣,雲渓外史など。
花卉画に長じ、輪郭線を描かない没骨法を用い、清朝花鳥画の典型をつくった。
ABOUT ME

日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)