紙本淡彩
サイズ 125cm x 46cm
(落款)
子漢山人
寛延庚季巳 補筆画
東埜城隅 四明山人
(印)
「四明山人」(朱文方印)
「号四明」(白文方印)
「男子生有四方志」(白文方印)(遊印)
署名に「子漢山人」とある。蕪村25歳から28歳にあたる寛保時代(1741-1744)に描いたもので、最初期にあたる
さらに、「寛延庚季巳 補筆画 東埜城隅 四明山人」と付け加えていることから、蕪村35歳、寛延三年(1750)になって補筆した
補筆した年紀があるので制作年がわかる
「子漢」⇨「四明」へと蕪村の画号の変遷を知る史料である。
最初に描いた20代後半は、画の修業に取り組み始めた頃で稚拙さが残る。
山が一色で塗られてのっぺらで、禿げ山のようだ
ポツンポツンと松の木が生えているだけの貧相な植生が広がる
河岸の2本の柳だけが妙にリアルに描かれている
釣り人が渓流に腰まで浸かり、長竿を投じている
漁夫や木樵は、農民と違い土地に縛られず動きまわり、自由に生きる象徴である
遊印「男子生有四方志」(白文方印)
「男子に生まれたからには、志を四方に向けていこう」と修業を怠らないようにとの戒めの言葉を彫らせている
ABOUT ME

日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)