珍品中の珍品 謝寅(蕪村)筆墨跡「拾得詩」

冨田鋼一郎

 閑自訪高僧 青山與白雲   
 東家一稚子 西舎衆羣羣
 五峯聳雲漢 碧落水澄澄   
 師指令歸去 月下一輪燈

  【書き下し文】
閑自なるに、高僧の訪れ、青山と白雲と。
東家には、一稚子、西舎には、衆の羣羣。
五峯は雲漢に聳え、碧く水は澄澄と落つ。
師の歸去しむるに指せば、月下一輪燈あり。

款  「東成謝寅并書」
印  「春星」(白文方印)
   「謝長庚印」(白文方印)

安永7年制作の七言絶句
円熟期を迎えた蕪村63歳当時の書

戦国時代の画僧の描いた「寒山拾得図」の余白に晩年の蕪村が賛をしたもの

生涯漢詩文や漢画から習得に努めていた証の双幅

「月下」を「目下」と書き誤る

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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