日々思うこと

蕪村の季重なり

冨田鋼一郎

なつき先生によれば、「季重なり」は失格だから避けなさいとなる

江戸の俳書では「季重なり」はいくらでも見つけることができる

⭕️目に青葉山ほととぎすはつ松魚 素堂

夏の季語「青葉」「ほととぎす」「松魚」が三つ

🔵ゆく春や逡巡として遅ざくら 蕪村

春の季語「ゆく春」「遅ざくら」の二つ

🔵うづみ火や我かくれ家も雪の中 蕪村

冬の季語「うづみ火」「雪」の二つ

🔵人間(ひとかん)に鶯鳴くや山ざくら 
蕪村

春の季語「鶯」「山ざくら」

以下、季節の異なる季重なりの例
春から夏へ、冬から春へと時間の経過を

🔵菜の花や黄なるむかしを青田かな 蕪村

晩春の黄一色の景観がいつの間にか青々とした盛夏に移り変わっている 植物の生命力に驚嘆

晩春の季語「菜の花」と夏の季語「青田」

🔵池田より炭くれし春の寒さ哉 蕪村

炭の残り火で春の余寒をしのぐとしよう
冬の季語「炭」と「春の寒さ」

今年も、蕪村に明け暮れた一年だった
来年は、もっと蕪村とお付き合いすることになる予感

皆さま、良い初夢を!

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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