日々思うこと

『文章軌範』宋の謝枋得編纂

冨田鋼一郎
おみ

[粗枝大葉の文 放胆文のすすめ]

「およそ文を学ぶは、初めは胆の大なるを要し、終わりは心の小なるを要す。粗より細に入り、俗より雅に入り、繁より簡に入れ。この集は皆、粗枝大葉の文にして、礼儀に本づき、世事に老け、人情に合す」

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「粗枝大葉」とは、大筋のところを押さえて、骨格のしっかりしたのびのびした勢いのある文章のこと

『文章軌範』
宋の謝枋得が編纂した、唐宋の「古文」の名作文章の選集文献

古文とは、六朝時代に流行したほぼ全てが対句で構成された極端に装飾的な駢文に対して、唐の柳宗元・韓愈たちが提唱した文体である。簡潔で雄健な調子で、考えをそのまま表現した古代の文章を理想(故に規範)とする。

掲載されている文章は高級官吏登用の科挙に際し、科目作文の模範となるべきものを選び出したもので、現代の受験参考書や模範文例集といった位置づけである

日本には室町時代末期に紹介され、特に江戸時代後期以降に和本が多く刷られ愛読された。

謝枋得(しゃほうとく、1226-1289)
中国南宋末期の政治家・学者。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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