読書逍遥第333回『南蛮の道』(その5) 司馬遼太郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
[北からは孔子 南からは老子]
天を崇拝するという思想は、北アジアから来たのかもしれない。とてつもなく広漠とした大地にいないと、天というものは感じられないわけで、中近東の砂漠で絶対神(ゴッド)が出てくるように、そういう地理的条件が必要です
日本のように山川草木がちまちまと錯綜して、谷間の神様がいたり、峰の神様がいたり、小川の神様がいたりじゃ、絶対神は成立しにくい。
しかし北アジアの草原にいると絶対神がいると簡単にわかるような感じがしますね。
ですから、孔子のようにしきりに天ということを考えている人間が出てくるのは華北からで、孔子がもし華南に生まれておればそうはならなかったように思える。