読書逍遥第239回 『牛肉と馬鈴薯』 国木田独歩著
冨田鋼一郎
有秋小春
中国と周辺国との関係の話からはじまり、モンゴルとの関係に話題が及ぶ
[モンゴルの特異性 中国に同化しない]
中国というのは世界のいくつかの大文明の中でも、周辺の民族に大きな影響与えた普遍性の高い文明を持った地帯でしょう。
北方や東北方の民族がしきりに長城を越えて入ってきても、すぐ「同化」してしまう。
紀元前から既にそうで、金なんかは漢民族の体制と教養をすっかり身に付けてしまって、やがて同化して溶けていくみたいになる。
近代におけるその典型は清朝ですね。清朝は、もとはといえば、旧満州に人口も50万のトゥングースなんですけれども、中国を支配してしまった。しかしいまや彼らは跡形もない。本来、中国文明と異民族の関係はそういうものであるのに、モンゴルはそういったことがない。
中国を丸ごとに支配したジンギスカン、フビライの時代でも、中国文明を受け付けなかった。元が滅びて、彼らが単なる少数民族に戻ってからでも受け付けず、今のモンゴル人民共和国でも受け付けない感じですね。