読書逍遥

読書逍遥第500回『対談 中国を考える』1978刊行(その2) 司馬遼太郎・陳舜臣

冨田鋼一郎

『対談 中国を考える』1978刊行(その2) 司馬遼太郎・陳舜臣

中国と周辺国との関係の話からはじまり、モンゴルとの関係に話題が及ぶ

[モンゴルの特異性 中国に同化しない]

中国というのは世界のいくつかの大文明の中でも、周辺の民族に大きな影響与えた普遍性の高い文明を持った地帯でしょう。

北方や東北方の民族がしきりに長城を越えて入ってきても、すぐ「同化」してしまう。

紀元前から既にそうで、金なんかは漢民族の体制と教養をすっかり身に付けてしまって、やがて同化して溶けていくみたいになる。

近代におけるその典型は清朝ですね。清朝は、もとはといえば、旧満州に人口も50万のトゥングースなんですけれども、中国を支配してしまった。しかしいまや彼らは跡形もない。本来、中国文明と異民族の関係はそういうものであるのに、モンゴルはそういったことがない。

中国を丸ごとに支配したジンギスカン、フビライの時代でも、中国文明を受け付けなかった。元が滅びて、彼らが単なる少数民族に戻ってからでも受け付けず、今のモンゴル人民共和国でも受け付けない感じですね。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました