読書逍遥

読書逍遥第487回『ルネサンスとは何であったのか』(その8) 塩野七生著

冨田鋼一郎

『ルネサンスとは何であったのか』(その8) 塩野七生著

フィレンツェ最後に登場する「万能の人」
「レオナルド・ダ・ヴィンチ」について

(ミケランジェロとの違い)
ミケランジェロ 創造した量
ダ・ヴィンチ 思索を巡らせた分野多彩さ

☆☆☆

バートランド・ラッセル
「西方の知恵」より抜粋

哲学(フィロソフィー)は、科学(サイエンス)と同じく、誰かがごく一般的な疑問を抱いたときに始まる。この種の好奇心を、最初に民族的な規模で持ったのがギリシャ人だった。

現代の我々が知っている哲学と科学は、古代のギリシア人の創造である。ギリシャ文明とは、この「知的な運動の爆発」であり、これほども華々しいイベントは歴史上に存在しない。

それ以前にもそれ以後にも、このギリシャと比肩しうる知の爆発は起こらなかった。2世紀と言う短い期間に、ギリシャ人は芸術、文学、科学、哲学の各分野にわたって、すざまじい量の傑作を創り出したのである。

そしてこれらが、その後の西方文明の基礎と体系を形づくることになった。

@@@@

ラッセルのこの一文は、レオナルドダ・ヴィンチを語る場合にも使える。レオナルドくらい、「なぜ」で生き通した人もいなかった。

私(著者)の空想するレオナルドは、「ぺルケ、ペルケ、ペルケ」と一人つぶやきながら部屋の中を行ったり来たりしている姿です。「perche」とはイタリア語で、「なぜ」の意味。

☆☆☆
レオナルドを駆動させたのは、すべて「なぜ」

「なぜ」が解消されれば、作品が完成しようが、しまいが無頓着

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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