読書逍遥

読書逍遥第479回『こころの処方箋』(その4) 河合隼雄著

冨田鋼一郎

『こころの処方箋』(その4) 河合隼雄著

「2つの目で見ると、奥行きがわかる」

人間は目を2つ持っている。このために遠近の判断がつき、景色を見ても奥行きがわかるのである。

この事実はなかなか象徴的で、ものごとの「奥行き」を知るためには、2つの異なる視点を持つことが必要だと言えそうである。ひとつの見方だけだと、平板な見方になってしまって、立体像が浮かび上がってこないのである。

カウンセラーというのは、常に2つの目で人を見ることができなくならない。

ここに2つの目として、甘い目と厳しい目という例を挙げたが、問題によっては、いろいろな目の組み合わせを考えると良い。

男の目と女の目などという組み合わせも考えられるだろう。天上からの目と地底からの目の組み合わせを考えてみるのもいいかもしれない。あるいは主観と客観の対立を考える人もあるだろう。

いずれにしろ、その時の状況に応じて必要と感じられる、2つの目の組み合わせにより、状況を立体的に把握しようとすることが大切である。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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