読書逍遥第320回『文明の主役 エネルギーと人間の物語』(その18) 森本哲郎著 2000年発行
冨田鋼一郎
有秋小春
「2つの目で見ると、奥行きがわかる」
人間は目を2つ持っている。このために遠近の判断がつき、景色を見ても奥行きがわかるのである。
この事実はなかなか象徴的で、ものごとの「奥行き」を知るためには、2つの異なる視点を持つことが必要だと言えそうである。ひとつの見方だけだと、平板な見方になってしまって、立体像が浮かび上がってこないのである。
カウンセラーというのは、常に2つの目で人を見ることができなくならない。
ここに2つの目として、甘い目と厳しい目という例を挙げたが、問題によっては、いろいろな目の組み合わせを考えると良い。
男の目と女の目などという組み合わせも考えられるだろう。天上からの目と地底からの目の組み合わせを考えてみるのもいいかもしれない。あるいは主観と客観の対立を考える人もあるだろう。
いずれにしろ、その時の状況に応じて必要と感じられる、2つの目の組み合わせにより、状況を立体的に把握しようとすることが大切である。