読書逍遥第146回 『地球曼荼羅 世紀末を歩く』森本哲郎著
冨田鋼一郎
有秋小春
ホモ・サピエンス
アブリ・ドゥ・カプ・ブラン(マドレーヌの少女)
1.5万年前(間氷期のはじまり)
1911フランスにて
旧石器時代の芸術
進化のある時点で、人類は「何の役にも立たないもの」を作るようになった。それは美しく、目を楽しませるが、ただそれだけだった。
日々を生き抜くことは、なおも困難だったが、かつてほど過酷な生活はもはやなく、生き延びることとは関係ない、けれど、相当に骨の折れる活動に従事する時間が生まれていた。そして人 ヒトは手形や、小さな石像やを手がけるようになった。その次が、洞窟壁画の傑作の数々。そして浅い浮き彫り、宝石も忘れてはならない。
発見場所 フランスドルドーニュ ラスコー(旧石器時代のシスティーナ礼拝堂)から車で一時間
マドレーヌ文化 洞窟で暮らす
埋葬の習慣 人類はすでに「彼岸」にたいするなんらかの認識があったのか
絵を描く事は、単なる気晴らしだったのか、それとも、絵には魔術的、儀式的な目的が込められていたのか、はっきりとした答えを出すのは難しい
旧石器時代のアーティストたちは、「目で見たもの」を、知的な媒介を抜きにして描くことで、現代の芸術が長いプロセスを経て、はじめて創造し得た作品に近い成果を生み出していた。